歯ブラシのお手入れ、洗い方、消毒方法について

更新日:11月5日

 口のなかにはむし歯菌や歯周病菌をはじめさまざまな常在菌が住ついています。例えば、歯垢1mg当たりには、細菌が約1~2億個存在していると言われてます。そして、歯を磨くたびに、この細菌を歯ブラシに付けていることになります。1 本の歯ブラシには、1 億を超える細菌が潜んでいることもあるそうです。


 ですから、歯ブラシは使用後に、毎回、流水をいろんな角度で当てて、残っている歯磨きのペーストや食べ物のかけらを取り除くように洗いましょう。流水ですすぎながら、指でブラシの毛をこすって汚れをおとしても良いですが、力をかけすぎると、ブラシの毛を痛めます。ほどほどの力加減にしましょう。洗い終わったら、歯ブラシを立てて保管し、自然乾燥させてください。


 湿った歯ブラシを密閉容器に保管したり、通気性のないキャップを付けると、細菌が増殖しやすくなります。なぜなら、細菌は湿った環境を好むからです。歯ブラシを清潔に保つには、ブラシの毛を乾燥させることが大事です。歯磨きしたら次の歯磨きまでにブラシが完全に乾いていることが望ましいです。


 「 細菌が潜んでいる歯ブラシを使うと、健康に悪影響がある」、とか、「歯ブラシを消毒すると病気になるリスクが減る」という科学的な証拠はありませんが、清潔志向の強いなか、歯ブラシをできるだけ清潔に保ちたいと思うのもわかります。もしも、歯ブラシを消毒したいと思われるなら、以下のような方法がネットで紹介されてます。


 まず、赤ちゃんの哺乳瓶と同じ方法で消毒できそうだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ、哺乳瓶や食器を消毒するためのものは、あくまでも、それ専用のものです。同じプラスチック製品でも歯ブラシはブラシ部分の先が細いから、やめておくほうが無難です。また、赤ちゃんのほ乳びんやマグの消毒用に、専用容器に水と一緒にいれて電子レンジスチーム消毒をしますが、この電子レンジによる消毒は、熱で毛の部分が変形、変質しますから、止めておくのが無難です。もちろん、熱湯消毒もしてはいけません。


 食器用の漂白剤で殺菌する方法も紹介されています。健栄製薬がHPで公開している資料によりますと、10本の歯ブラシを0.01%次亜塩素酸ナトリウム(家庭でおなじみのハイターです)に1時間つけ置いてから、細菌培養検査をしたら、10本中2本から緑膿菌を検出しました。また、国立岡山病院では、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒を試みてますが、歯ブラシから完全に菌をなくすほどの効果はないことがわかりました。


 おなじ岡山病院の調査で、70℃の流水で30分間洗浄すれば、充分に除菌できることがわかりましたが、家庭で実際に30分間お湯を歯ブラシにかけ続けるのは無理でしょう。 また、アメリカでは、コップにリステリン洗口液を注いで、歯ブラシをその中に入れて一晩放置する方法が紹介されています。この方法で、歯ブラシの細菌量を約 85%減らせます。


 ネットで紹介されている方法では、どれも家庭で歯ブラシから完全に細菌を減らすことは無理なようです。

私は歯ブラシの清潔保持法としては、きっちりと汚れを水で洗い流し、しっかりと乾燥させて、定期的に交換すれば、十分だと思っています。そして、清潔保持のために最も大事なポイントは、しっかり乾燥させておくことです。このためには、2本の歯ブラシを用意して交互に使用すれば完ぺきです。


 歯ブラシの交換時期について、日本歯科医師会は「通常の歯ブラシの交換は、1カ月を目安にとして、少なくとも3カ月に1回は交換しましょう」と勧めています。一方で、アメリカ歯科医師会は「3から4ヶ月ごとの交換」を勧めています。日米で交換時期の目安が違う理由はわかりませんが、どちらも、歯ブラシの毛先が開くと、歯垢除去の効率が下がるので、早めに交換することを勧めています。当院で推奨しているTEPE社のブラシは、歯科衛生士の指導に従って正しくブラッシングをしていただければ、3カ月は使用していただけます。また、硬いブラシは長い期間使用できますが、歯や歯茎のダメージが大きいので、お勧めできません。


 次の図は、歯ブラシを使い続けたときに、ブラシの毛がどのように損耗していくか、肉眼と拡大鏡と電子顕微鏡で観察した結果です。

歯ブラシは使い続けると、毛束は次第に開いて、毛が植わってる柄からはみ出します。これを過ぎたらさらに広がらないうちに、歯ブラシを交換しましょう。たとえ、まだ3~4ヶ月間使用していなくても、早めに取り変えたほうが無難です。この時期の歯ブラシを電子顕微鏡でみると、毛の先端の丸みがなくなってます。やがて、毛先が潰れてしまいます。このような歯ブラシを使い続けると、プラーク除去の効率が下がって、きれいに磨けなくなります。それだけでなく、歯茎や歯を損傷します。

 歯ブラシは使い続けると、毛束は次第に開いて、毛が植わってる柄からはみ出します。(d)を過ぎたら(g)にならないうちに、歯ブラシを交換しましょう。たとえ、まだ3~4ヶ月間使用していなくても、早めに取り変えたほうが無難です。この時期の歯ブラシを電子顕微鏡でみると、( i )のように毛の先端の丸みがなくなってやがて、( m )のように毛先が潰れてしまいます。このような歯ブラシを使い続けると、プラーク除去の効率が下がって、きれいに磨けなくなります。それだけでなく、歯茎や歯を傷つけます。また、こうなると、1本1本の毛を清潔に保つことも難しそうですね。


 繰り返しますが、歯ブラシは、きっちりと汚れを水で洗い流し、しっかりと乾燥させて、清潔に保ちましょう。そして、歯ブラシの毛束の様子を観察して、早めに交換するようにしましょう。