今年の夏も猛暑の環境の中で脱水が進み、熱中症になる方が少なくありません。総務省消防庁の報告によると、今年の8月14日から20日までの全国の熱中症による救急搬送人員は、7,360人でした。また、新型コロナウイルス感染症は5類に移行して、マスクの着用は個人の判断に委ねられてますが、マスクで体内に熱がこもりやすくなり、喉の渇きを感じにくくなり、また、マスクを外すのが面倒で水分補給の回数が減るので、かくれ脱水になる危険性も高くなっています。
かくれ脱水とは、脱水症の一歩手前で、身体に必要な水分(体液)が減っている状態です。 そこに「暑さ」が加わると熱中症になります。かくれ脱水では、自覚症状が乏しく、症状を感じないので、そのまま脱水、熱中症に進む危険が高いです。特に暑い季節の屋内や風通しが悪い環境にいたり、こまめな水分補給ができないと起こりやすいことが報告されています。タイトルの「くちの中がねばっく。食べ物がパサつく。つばが少なくて飲めないことがある。」という場合は、かくれ脱水かもしれません。
ここで、65歳以上の方を対象にした「かくれ脱水」のチェックシートを紹介します。このシートは神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科谷口英喜教授が監修しています。なお、このシートはあくまでも隠れ脱水の目安であり、このチェックシートに該当項目がなくても、かくれ脱水になっている場合があります。確定診断にはかかりつけの医師を受診してください。
かくれ脱水チェックシート 対象: 65歳以上のご高齢の方
監修 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授谷口英喜
3つのSTEPの設問をチェックすることで、「かくれ脱水」の可能性を調べることが出来ます。
脱水症へ移行する前段階、「かくれ脱水」をチェックしてみましょう。
STEP1 最近、今までなかった以下のような変化がありませんでしたか?
該当項目にチェックをしてください。
皮膚がカサつくようになった。皮膚につやがなく、乾燥している。ポロポロと皮膚がおちる。
くちの中がねばっくようになった。食べ物がパサつく。つばが少なくて、つばをゴクンと飲めないことがある。
便秘になった、あるいは以前よりひどくなった。下剤(便秘薬)を使う頻度が増えた。
以前よりも皮膚の張りがなくなった。手の甲をつまみあげて離した後に、つまんだ跡が3秒以上も残る。
足のスネにむくみ"がでるようになった。靴下のゴムの跡が、脱いだ後に10分以上も残る。
該当項目にひとつでもチェックがある方は、下記STEP2.へ進んでください。
該当項目のない方は、下記アドバイスAへ。
STEP2 以下の項目に該当するものはありませんか?
該当項目にチェックをしてください。
日当リの良いところ、または屋外にいる時間が長い(目安は1時間以上)。
普段よりも、集中力が低下している(例えば、落ち着かずイライラしたり、昼間でも眠リがちだったりするロトイレが近くなるため、寝る前は水分補給を控える傾向がある。
冷たい食べ物(例えば、氷・アイスクリームなど)や冷たい飲み物を好むようになった。
利尿薬を内服している(ダイエット薬に含まれている場合も該当)
該当項目にひとつでもチェックがある方は、裏面STEP3へ進んでください。
該当項目のない方は、下記アドバイスBへ。
STEP3 さらに以下の項目に該当するものがありますか?
85歳以上である。
高血圧、糖尿病、心臓病などの持病がある。
該当項目にひとつでもチェックがある方は、下記アドバイスDへ
該当項目のない方は、下記アドバイスCへ。
アドバイスA
現在は、"かくれ脱水"の危険は少ないです。引き続き、規則正しい食生活を心がけましょう。
アドバイスB
あなたは、"かくれ脱水"の可能性があります。まずは、食生活を見直してみましょう。
アドバイスC
あなたは、"かくれ脱水"の可能性が高いです。何らかの脱水症予防をしましよう。
アドバイスD 脱水症に進行する恐れがあるので、医療者に相談してください。
最後に、脱水を予防するための食事と水分補給のコツを紹介します。
3 食の食事をしっかり食べる
まずは3 食しっかり食べることが基本です。食事から約 1000ml の水分 が摂取できます。また食事中、食事の間で水分をこまめにとりましょう。
喉の渇きを感じる前に水分をとることも大切です。
食事以外から摂る水分量は朝食 昼食 夕食 1000 ml が目安です!
何もしなくても身体から水分は失われます。意識的に水分をとりましょう。
水分は水かお茶が理想です。ジュース・清涼飲料水の多飲やお酒を水分の代わりとして飲むことは脱水を助長するため避けましょう。
スポーツドリンクは発汗時だけでなくエネルギー補給にも
スポーツドリンクは糖分と塩分の両方を含み、水分吸収が早いという特徴があります。運動や炎天下での作業など汗をかく場合は、水・お茶と併用しましょう。また、水に比べてエネルギーが高く、食欲が湧かない時に飲むとエネルギー補給の助けにもなります。
脱水まで進んでしまった場合は経口補水液での補給を
経口補水液は糖分が少なく、塩分など電解質の量が多いため効率的に水分や電解質の補給ができます。
体調不良で食事や飲水が殆どできない時や、 発熱や下痢、嘔吐で水分を大量に失い脱水が進んだ場合に飲みましょう。
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