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続 夏休みのお知らせ 院長の検査結果 

 夏季休暇の間に住友病院内分泌内科に入院して検査を受けて、8月25日に検査の結果がわかりました。

 今回の検査の目的は、今年の冬に入院に至った不調の根本原因をさぐることでしたが、検査の結果、どこにも癌などの腫瘍や炎症はないと確認され、副腎皮質ホルモンのコルチゾールが全く分泌されてないことがわかりました。


 コルチゾールは、身体にかかるさまざまなストレスに対抗して身体のバランスを整える働きがあって、ストレスが加わると、生命の維持に最低限必要な血液中の糖分(血糖)を保つはたらきをします。本来、コルチゾールの分泌量は適切に調節されています。

 この調節の司令塔は 、脳の一部である視床下部です。視床下部からのコントロールは、直接、副腎皮質 に伝えられるのでなく、視床下部の下に位置する下垂体を介してコントロールされてます。





 このホルモンの調節機構がうまく働かないと、このホルモンの血中濃度が低くなることがあります。このときには、全身倦怠感、食欲不振、易疲労、脱力、体重減少などが起こります。私の場合、去年の夏から、このような自覚症状でありましたが、当初は、感染症、血液疾患、癌、うつ病、ウイルス性肝炎などの肝臓の病気、不整脈などの循環器疾患などが疑われて、市内の病院でたくさんの検査をしましたが、いずれも当てはまりませんでした。そして、今年の冬に市内で入院した際に、主治医がACTHと副腎皮質ホルモン減少を疑って、副腎皮質ホルモンの内服を開始すると症状が劇的に改善しました。そして、今回の内分泌機能検査で正式にACTH単独欠損症と診断が確定されました。結局、発症から診断の確定するまで1年もかかったわけです。


 この病気は、日本人には比較的多くて、人口10万人あたり4~7人の発症率です。つまり、この宝塚市にも、私とおなじ病気のかたが10人程度いらっしゃることになります。ただ、この病気は診断されず、慢性疲労や不定愁訴と扱われ見逃されている場合もあるそうです。ですから、実数はもう少し多いのかもしれません。私は、幸い確定診断に行き着きましたが、病状が特異的でなく、その診断のための検査が入院を要する点などを考慮すると、見逃されることもおおいことでしょう。


 そんなわけで、今後ずっとコルチゾールを薬で補います。正常であれば、病気や肉体的疲労や精神的負担があると、その強さに応じて自動的にこのホルモン分泌量が調整されますが、私の場合、自覚症状をたよりに、薬の量を自分で加減する必要があります。普通はストレスに対してオートマチックにコントロールできるものを、マニュアルでコントロールしなければならないというわけです。面倒で厄介なことですが、きちんと対応することによって元気に生活することができるそうです。診療にも全く差し支えありませんから、まだまだいままでどおりに仕事を続けます


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