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ウィズコロナ期の「新しい診療様式」

更新日:2020年8月22日

 6月末になって全国的に様々な業種の自粛要請を解除されつつあります。でも、自粛要請が終わったからといって、残念ながらビフォーコロナ期の日常に戻れるわけではありません。今はウィズコロナ期の幕開けととらえて、個人個人が厚労省が公表した「新しい生活様式」に慣れて、自分や大切な人、そして地域社会を守るため、できる限りの予防策をとって、協力することが必要でしょう。


 仲田歯科医院では4月に緊急事態宣言が出されて以来、従来からの院内感染予防対策に新型コロナ対策として新たな取り組みを追加して診療を続けてきました。これらの取り組みは今後も止めることなく、いわば「新しい診療様式」として継続します。そこで、このブログではこの「新しい診療様式」を紹介します。

 

ウイズコロナ期の「新しい診療様式」の目次

(1)「人からうつされない」と「人にうつさない」心がけ

①当院のスタッフが心がけること

②来院する患者さんに心がけていただきたいこと

(2)歯科診療をおこなう上での感染対策

(2-1)感染経路別対策とスタンダードコンプリーション

(a)手指衛生

①患者さんにお願いする手指衛生

②当院スタッフの手指衛生

(b)接触感染防止

①患者さんの接触感染防止

②当院スタッフの接触感染防止

(c) 飛沫感染(エアロゾル感染)防止

①患者さんの飛沫感染防止

②当院スタッフの飛沫感染防止

(d) 口腔外バキュームの有効性

(2-2)歯科診療の「3密」対策

(2-3)歯科診療のソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)代替対策

①患者さんにお願いする対策

②当院スタッフの対策

(3)器材の使い捨てと滅菌消毒

 

(1)「人からうつされない」と「人にうつさない」心がけ

 感染対策の基本として、一人ひとりが自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染 を拡大 させないことをことを大切にします。このための、基本は①手洗い②マスクの着用③身体的距離の確保です。この中で身体的距離を保つことは歯科診療では不可能ですから、それに代わる感染防止策として、問診により感染陽性者や疑い濃厚者の治療を差し控えたり、フェイスシールド、ゴーグル、 エアロゾル除去装置などで医学的距離を保ちます。これについては(2-3)歯科診療のソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)代替対策で説明します。


①当院スタッフの心がけ

 院内感染防止において重要なことは、スタッフ間での感染防止と、外からウイルスを院内に持ち込まないことです。気心の知れたスタッフ間では油断から感染防止の意識が薄れるため、細心の注意が必要です。一人のスタッフの油断から、院内スタッフはもちろん患者の皆様に感染することがないように努めます。

  • 睡眠時間を十分に取って疲労回復に努め、手洗いを始め正しい生活習慣と規則正しい生活を心がけます。

  • 通勤電車や人混みではマスクを装着し、不用意に物に触れないようにします。

  • 全ての職員は出勤前に検温し、体調不良の者は自主的に出勤を控えます。

  • 発熱や上気道症状等の症状がある場合は、自主的に出勤を控えます。

  • ロッカールーム、休憩室であっても職員同士が濃厚接触(マスクを外して1メートル以内の距離で15分以上の接触)することを避けます。

  • 休憩時間、就業前後などに他の職員との接触にするときにはマスクを装着します。

  • 換気が悪く人が密に集まって過ごすような空間や、不特定多数の人が密に接触する場所で開催されるイベント等には、極力参加しません。


②来院する患者さんに心がけていただきたいこと

 院内感染防止において重要なことは、外からウイルスを院内に持ち込まないことですから、来院患者さんは次の点についてご協力お願いします。

  • 受診する際は、ご自宅で検温し、発熱や体調不良の場合は受診を控えてください。判断に迷われたら、お電話にてお問い合わせください。

  • 咳、くしゃみ、上気道症状等の不調な症状が発現した場合は、受診を控えてください。判断に迷われたら、電話にてお問い合わせください。

  • 自宅から医療機関までの道中は、マスクを装着し、不用意にものに触れないよう心がけてください。

  • 待合室に入室するときは、手指の消毒を行い、マスクの着用をしてください。

  • 受診当日問診票には正確に回答してください。 また、問診票に記載のない事項であっても、気になることがあったら、申し出てください。

  • 診療室で、当院スタッフとの会話が長くなるときには、マスクを着用してください。

  • お会計の際は、なるべく釣り銭のないようにお願いいたします。


(2)歯科診療をおこなう上での感染対策

(2-1)感染経路別対策とスタンダードコンプリーション

 新型コロナウイルスは一般的には接触感染と飛沫感染で感染します。咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされています。(WHOは、一般に、5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛まつ(約3,000個)が飛ぶと報告しています。)

 「接触感染」では、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染します。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

 「飛沫感染」では、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。

 あらゆる感染対策は、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)が提唱した、標準予防策(スタンダード・プリコーション)が基本です。この予防策を適用すると、新型コロナウイルス感染症を発症している人に限らず「全ての患者さん」の血液、唾液など汗を除く体液、分泌物、排泄物を新型コロナウイルスに感染する危険性があるものとして取り扱います。

(a)手指衛生

 接触感染では手指が直接的に関与しますが、飛沫感染でも、手指は物に付着した飛沫に触れることで間接的に関わります。さらに、空気感染にも手指が関わってます。また、どんなに滅菌機器を駆使して、消毒薬を使用しても、歯科医院全体を厳密に無菌状態にすることは不可能ですから、手洗いはすべての感染予防の基本となり、一番大きな役割を果たします。


①患者さんにお願いする手指衛生

  • 待合室の玄関口にアルコール擦式手指消毒剤を設置してます。ご来院とお帰りの際は手指消毒してください。

  • アルコール手指消毒剤は、手指全体にササッと行き渡らせるだけでなく、しっかりとすり込むことが大切です。少量の消毒剤しか使わないのであればあまり効果は期待できません。しっかりワンプッシュして、手にとって消毒剤が乾くまですり込むようにしましょう。

  • 目に見えて手が汚れている場合には、洗面所に手洗い石けん液を用意しておりますので、流水と石鹸で手洗いした後にアルコール擦式手指消毒剤を使用して下さい。

②当院スタッフの手指衛生

  • 衛生的手洗い

    • 「衛生的手洗い」はグローブを外して目に見える汚れがある場合やグローブを外して目に見える汚れがないが、手指消毒だけでは不安と思われる場合に行います。

    • 手洗い石けんを使って、流水で1 回につき 30 秒間洗って、ペーパタオルで水分を取って廃棄します。

    • 衛生的手洗いは、ともすれば、手荒れを起こします。手荒れが起こると、手指衛生が徹底で きなくなり、手指衛生の質の低下によって感染のリスク が高くなりますので、必要最低限の場合のみ行うように注意が必要です。 基本的には、手指消毒とグローブ装着を適切に行うことによって、衛生的手洗いの回数を減らすことを目指しています。

  • 手指消毒

    • 手指の付着菌や常在菌、特に指先に付着している菌を消毒薬によって除去します。

    • グローブを装着する前(グローブを取り出す際に、指先によってグローブの箱を汚染させないようにするため)、グローブを外した後(グローブ内の汗によって、細菌が繁殖し増えているため)、グローブを外して、目に見える汚れがない場合に、擦式アルコール製剤を使って1回につき20秒で手指の消毒をします。

  • グローブ装着

    • 歯科医師、歯科衛生士が患者さんの口腔を触るときはもちろん、歯科助手がアシスタントをする際にも、常にグローブを装着します。

    • グローブは患者さんごとに交換します。

(b)接触感染防止

①患者さんの接触感染防止

  • 院内のドアノブや取っ手、手すり、待合室ソファを定期的にアルコール消毒します。

  • 雑誌やパンフレットなど不特定の患者さんが触れるものは撤去しました。

  • 診療室では、診療チェア、チェア脇の小物置き、アームレスト、うがい用ベースンは患者さん毎にアルコール消毒します。

②当院スタッフの接触感染防止

  • 診療台、操作パネル、レントゲン装置等は患者さん毎にアルコール消毒しています。

  • パソコン キーボードのラッピングやアルコール消毒します。

(c) 飛沫感染(エアロゾル感染)防止

①患者さんの飛沫感染防止

  • 治療開始前に抗ウイルス性洗口液でうがいをお願いします。

  • 各チェアを高さ170cmのパーテーションでしきって、正面の窓と換気扇から換気します。

  • 口腔外バキュームを使用します。

  • 診療チェアにお座りの際にも、治療中以外、会話時などはマスクの着用をお願いします。

  • 咳などがある場合は治療の延期をお願いすることがあります

②当院スタッフの飛沫感染防止

  • 治療中は、マスク、グローブに加えゴーグルやフェイスシールドを着用します。

  • 仲田歯科医院では、現在の医療物資の供給体制からみて、日常の歯科治療でN95マスク、ガウン、帽子などを消費することは適切でないと考えています。

(d) 口腔外バキュームの有効性

  • 歯科診療で発生するエアロゾルを除去する装置として口腔外バキュームは有効です。

  • 適切な方法で口腔内バキュームと併用することにより、細菌の検出を90%以上減少できるとされています。

  • 仲田歯科医院では、全診療チェアに口腔外バキュームを完備しています。

通常のバキューム 顔周囲に飛沫が飛散する
口腔外バキューム 飛沫が吸引され飛散しない

(2-2)歯科診療の「3密」対策

 国内で新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)が発生した場所の共通点を探して見つかった「密閉、密集、密接」の3密は、新型コロナウイルス感染症を避ける「新しい生活様式」でも、回避することが求められています。

仲田歯科医院では、診療に際して次のように3密に対策しています。


(a)密閉対策

  • 常に、各診療チェアの正面の窓を開けて、換気扇を回して換気します。

  • 口腔外バキュームは、ドリルや歯石除去・歯面清掃機器使用中のみならず、治療中は常時作動させて、口元の飛沫を吸引します。うるさいですがご容赦下さい。

  • 超音波振動したり水スプレーが出る治療器具の使用を極力控えて、手用器具を多用します。

(b)密集対策

  • 診療室の各チェアの間に高さ170cmのパーテーションを設置してます。

  • 患者さんが待合室での密集するのを避けるために、予約時間の分散にご協力ください。

(c)密接対策

  • 待合室では、マスクの装着をお願いします。

  • 受付では、カウンターにスクリーンを設置して、当院スタッフはマスクを装着して応対いたします。

  • 歯科では近距離で診療せざるをえず、いわゆるソーシャルディスタンスを保つことはできません。そこで、防護のために距離を確保する以外の対策を講じます。詳しくは次項(2-3)歯科診療のソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)代替対策を参照してください。


(2-3)歯科診療のソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)代替対策


 ソーシャルディスタンスを保って、人と距離をとることは、感染リスクを減らすことができるという点で大切です。ただ、感染防止策としてはマスクを正しく着用することや手洗いをはじめ、有効な方法が他にもあります。そこで、仲田歯科医院ではソーシャルディスタンスに代えて、有効な対策を組み合わせて複合的に対策します。


①患者さんにお願いする対策

  • ご来院の際には手指消毒してください。

  • 来院時に患者さんの体温を非接触の体温計で測定させていただきます。 また、簡単なアンケートに答えていただきます。37.5℃以上の発熱、風邪の症状や味覚、嗅覚の異常の有無について健康チェックいたします

  • これによって、治療前に感染リスクを把握します。そして、感染が疑われる場合には、治療を控えさせていただくこともございますので、あらかじめご了解お願います。

  • 治療開始前に抗ウイルス性洗口液でうがいをお願いします。これにより、患者さんから発せられるウイルスを出来る限り少なくします。

  • 診療室内で当院スタッフとの会話が長くなる場合には、マスクを着用してください。

②当院スタッフの対策

  • 個人防護具(マスク・グローブ・ゴー グル・フェイスシールド)を使用します。

  • 口腔外バキュームにより、患者さんから発せられる飛沫を出来る限り除去して拡散を防止します。


(3)器材の使い捨てと滅菌消毒

 歯科治療では、お口の中でさまざまな器具を使用しますが、いずれも唾液や血液、削られた歯質や歯肉、頬、舌などに直接触れるものです。ですから、仲田歯科医院では、ビフォーコロナの従来より、衛生的で安全な治療を提供するため、一人ひとりの患者さんの治療ごとに、使い捨てのディスポーザブル製品を利用して、それ以外の器材は滅菌消毒して院内感染対策してます。

  • 患者さま用のエプロン、コップは使い捨てにし、患者さまごとに廃棄します。

  • スタッフが使用するグローブも、患者さんお一人ごとに使い捨てる(ディスポーザブル)製品を使用しています。

  • 医院スタッフの衛生的手洗いではペーパータオルを使い捨てます。

  • もちろん、麻酔の注射針は使い捨てです。

  • 滅菌器には通常のもののほか、高速の滅菌器もあり、滅菌対象に合わせて適切に使い分けています。

  • 歯科医が歯を削るときに握っている銀色の太いペンのようなハンドピースは、十分な数を所有して患者さんごとに取り替えて滅菌します。

  • 歯科衛生士が歯垢や歯石を取るときに使う金属製やプラスチック製のハンドピースも、十分な数を所有して患者さんごとに取り替えて滅菌します。

  • 歯に水をかけて洗浄したり風をかけて乾かしたりするノズルも、多数在庫して、患者さんごとに取り替えて滅菌します。




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