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口臭について

 新型コロナウイルス感染症をインフルエンザと同じ「5類」に変更することになって、従来はマスク着用が強制であった場面(卒業式・飛行機搭乗など)で個人の判断に任せるように変わるようです。でも、アンケート調査では、マスクを外すことに抵抗があると考える人が7割を超えているようで、まだまだ長引くマスク生活になりそうです。


「長期間のマスク着用が、お口の衛生や機能に影響を及ぼすから注意しましょう」と言われてます。 例えば、マスクを着用していると無意識に口が開き、口呼吸となりがちだから、口の中が乾燥したり、唾液の分泌量が減ります。そして、口腔内に住みついている細菌が変化します。また、口まわりの筋肉を動かす機会が減るから、咀嚼力の低下が心配される等々。このように、マスク着用はお口の中の衛生状態や機能に深刻な影響をもたらすと言われてますが、一つ一つについて学術的に検討した結果ではなく、「ああなればこうなる」的に推論を積み重ねたものです。この話をさらに発展させて、「マスク生活で口臭が強くなる」とつづけることもできますが、本当は、「マスクをすることで、以前からの自分の口臭に気づいた」のではないでしょうか。口臭は吐き出す息の臭いですから、マスクのない状態では、吐いた息は空中に広がって、自分では臭いを感じませんが、マスクをしていると息はマスク内にこもるので、臭いを感じるというわけです。


 2021年6月に関東在住の 20~69 歳の男女 500 名を対象に、「コロナ禍でマスクをするようになってから自分の口臭が気になると感じることはありますか?」ということを調査してます。この結果、「とても感じる」(14%)、「まぁまぁ感じる」(26.2%)と回答して、「感じるときがある」(24.6%)を含めると、実に6 割以上(64.8%)がコロナ禍で口臭を感じている(口臭に気づいた)結果となりました。でも、コロナが流行しておらず今ほどのマスク生活ではなかった2014年10月に全国の10代(高校生以上)~50代男女750名を対象にに、「歯と口の健康について気になっていること」を質問したところ、口臭は69.7%と7割近い人が気にしていました。ひょっとすると、マスク生活に関わらず6〜7割の人は自分の口臭を気にしているのかもしれません。


 一口に口臭といっても、実際に口臭がある真性口臭症と、実は口臭の無い仮性口臭症と口臭恐怖症があります。さらに、 真性口臭症には、生理的口臭と病的口臭があって、生理的口臭は原因の疾患がない口臭で、日本の口臭患者の約 2割がこれにあたるようです。 


 病的口臭は、さらに 口腔由来と全身由来に分類します。口腔由来の病的口臭は、歯周病が原因のことがほとんどで、 口臭患者全体全体の約4割に相当します 。時々、唾液の分泌減少による口臭もあります。その他、口内炎や口腔癌など潰瘍を作る病気も原因となります。

 全身由来の病的口臭では、内科・耳鼻科などの病気や、内服薬が原因の口臭もありますが、我が国では少ないです。


 仮性口臭症は、口臭が無いのに「口臭がある」と勘違いしてて、中には治療を希望する方もいます。仮性口臭の患者さんは、歯科医師・歯科衛生士の「口臭が無い」と説明すれば、理解できます。ところが、まれに「口臭がある」と固く信じる方もいます。このような患者さんは、周囲の人々の何気ない動作、例えば他人が鼻のあたりを手で隠したり、顔をそむけたりすると「自分の口が臭うため」と誤解します。このような場合に口臭恐怖症と診断されます。心理的な要因が大きいとされています。


生理的口臭には「1 日のライフスタイルに起因するもの」と「一生のライフスタイルに起因するもの」に分けられています。

「1 日のライフスタイルに起因するもの」のうち、 

 起床時口臭は、通常、夜間は口唇が閉鎖しているために発生しますが、歯磨きや食事をすると消えます。

 空腹時口臭は、空腹時の唾液性状の変化により起こるとされています。 

 飲食・喫煙時口臭は、舌表面への臭気物質が引っ付いて起こります。


 「一生のライフスタイルに起因するもの」のうち、思春期口臭、生理時口臭、妊娠時口臭は、女性ホルモンのエスト口ゲンと関係すると言われてます。また、更年期口臭と老人性口臭は、加齢による疲労や緊張や、口呼吸の繰り返し、唾液の分泌量が減少した結果、口臭が発生します。


各種口臭の対策


 生理的口臭の対策は、歯磨きと歯間清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)さらに、舌ブラシで舌清掃することです。舌は口臭の元になっていることが多いです。ブラッシング方法は歯科衛生士にアドバイスしてもらいましょう。そして、一番重要な事は、歯周病による口臭症にならないように、少なくとも半年に1回のメインテナンスを受けることです。そして、このメインテナンスは一生続けましょう。


 口腔由来の病的口臭の場合は、原因となる歯周病を治療することになります。ここでも、適切なブラッシング方法を指導してもらうこと、 Professional tooth cleaninngをうけること、メインテナンスを続けることが大事になります。


 この他の口臭については、全身由来の病的口臭は医科受診が必要です。また、仮性口臭では、口臭がないことを歯科医師や歯科衛生士が確認して、カウンセリングしますが、口臭がないことを検査機器で確認したいならば、大学付属病院の口臭外来の受診をお勧めします。この検査は保険が適応されませんから、費用は受診される病院に問い合わせてください。口臭恐怖症は心療内科などに受診することが必要です。


 口臭の最も重要な予防は、一人一人のお口の状況に応じた間隔で、定期的に歯科医院に通院してメインテナンを受けることです。メインテナンスでブラッシング指導と歯垢・歯石除去をしてもらうことが必須です。これをせずに、自分で歯磨きして洗口液(マウスウオッシュ)を使っていても、決して効果があがることはありません。


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