宝塚市の乳幼児のむし歯は年々減って、平成30年の健診でむし歯が見つかったのは、1歳半児で0.5%、つまり、200人に一人です。40年前からむし歯のある3歳児は1歳半児に比べると10倍から20倍多くて、最近でも10.1%、3歳児は10人に一人の割合でむし歯があります。
このように、1歳半から3歳までの間に、ずいぶんたくさんの子どもがむし歯を作ってしまいます。そこで、この間を上手にむし歯を予防する方法を紹介します。
目次
1.「むし歯は母子感染する」「むし歯はうつる」?
1.1 むし歯は母子感染?
1.2 むし歯はうつる病気・・・
1.3 むし歯は生活習慣病
2. むし歯の4条件と予防方法
2.1 むし歯菌が居ついて増える
2.1-1 ミュータンス菌の感染力は強くない
2.1-2 ミュータンス菌の侵入予防よりたいせつなこと
2.2 糖質の摂取
2.2-1 むし歯にかかわる糖質
2.2-2 予防策 シュガーコントロールのポイント
2.2-2-1 砂糖(糖分)の量が多いものは要注意
2.2-2-2 お口の中に長く留まりやすいものは要注意
2.2-2-3 お口の中が長時間汚れるものは要注意
2.2-2-4 おやつには砂糖(スクロース)を含む菓子を避けましょう。
2.3 歯と唾液の抵抗力
2.3-1 むし歯の発病のカギは脱灰と再石灰のバランス
2.3-2 予防策 歯と唾液の抵抗力を高めるポイント
2.3-2-1 フッ素を活用しましょう。
2.3-2-1-1 1歳になったら、フッ素歯磨きデビュー
2.3-2-1-2 最初は500ppm
2.3-2-1-3 ぶくぶくうがいができるようになったら900ppm
2.3-2-2 よく噛んで、唾液をたくさん出しましょう。
2.3-2-2-1 離乳食のうちから噛む力を育てましょう。
2.3-2-2-1-1 1歳半から1歳半から2歳
2.3-2-2-1-2 3歳から5歳
2.3-2-2-2 噛む力を育てるポイント
2.3-2-2-2-1 素材の味をいかしつつ、子ども好みの味付けに
2.3-2-2-2-2 切り方や加熱に工夫
2.3-2-2-2-3 食感にバリエーションを
2.3-2-2-2-4 おやつには歯ごたえのあるものを
2.3-2-2-2-5 カミカミ食材を使う
2.3-2-2-2-6 楽しくカミカミ
2.3-2-2-2-7 飲み物で流し込む癖をつけない
2.3-2-3 早めに 歯医者さんデビュー
2.4 口の中が酸性の時間
2.4-1 ステファンカーブ
2.4-2 予防策 口の中が酸性の時間を短くする
2.4-2-1 飲食回数を少なくする
2.4-2-2 ダラダラと飲食しない
2.4-2-3 仕上げ磨き
2.4-2-3-1 歯みがきのタイミング 「歯みがきは食後 30 分経ってから?」
2.4-2-3-2 仕上げ磨きはマネッコから始めよう
2.4-2-3-3 仕上げ磨きは1日何回?
2.4-2-3-4 日頃から口の周囲を触られることに慣れさせましょう
2.4-2-3-5 嫌がられないように工夫しましょう
2.4-2-3-6 上の前歯が生えた時の仕上磨きの注意ポイント
2.4-2-3-7 奥歯が生えた時の仕上磨きの注意ポイント
3. まとめ 1歳半から3歳までにむし歯予防でできること
1.「むし歯は母子感染する」「むし歯はうつる」?
「むし歯はうつる」「むし歯は母子感染する」と聞いたことありますよね。
インターネットで「むし歯 うつる」「むし歯 母子感染」で検索すると、非常にたくさんの情報にヒットします。
「むし歯はうつる」というと、とてもセンセーショナルですし、「むし歯は母子感染する」も、赤ちゃんを健康に育てたい新米のパパとママにとって、大変興味を引くことでしょう。でも、お母さんがうつさないように気をつけたら、本当に、むし歯は予防できるのでしょうか? 仲田歯科医院は、「それはちょっと違う」と思います。これから、その理由を説明しましょう。
1.1 むし歯は母子感染?
「むし歯はうつる」というのは、むし歯菌として広く知られてるミュータンス菌に注目して、むし歯を感染性疾患の一つとしてとらえてます。
でも、むし歯は、バイキンがひきおこす一般的な感染症とは違う面があります。その一つは、むし歯菌が体の中に侵入する経路(感染経路)です。
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感染症学では、病原菌が私たちの身体に侵入して(伝播)、居ついて(定着)、増えて(増殖)、病原菌の攻撃力が私たちの抵抗力(免疫防御力)を上回った場合に、「感染」したといいます。 感染の経路は3つで、外因性感染と内因性感染と母子感染があります。
外因性感染:本来は私たちの身体にいない病原菌が外から侵入してうつります。
内因性感染:元々身体の中に居ついている無害な常在菌が、私達の体調が崩れや、生活習慣の乱れにつけ込んで、増えて悪影響を及ぼします。
母子感染:垂直感染とも言います。お母さんに妊娠前、または、妊娠中に感染した病原菌が、赤ちゃんに感染するのが母子感染です。感染する時期によって、赤ちゃんがお腹の中で感染すれば胎内感染、分娩が始まって産道を通る時に感染すれば産道感染、母乳で感染すれば母乳感染といいます。
生まれたての赤ちゃんの口腔は無菌ですが、生まれて数時間すると、お母さんの産道を通った時に侵入したバイキンが赤ちゃんの口のなかに居つきます。 このバイキンはいわゆる善玉菌で、悪玉の病原菌が口腔に居ついて増殖するのを防いでくれます。ちなみに、この善玉菌は母子感染ではありません。なぜならば、私たちと共存関係にあって攻撃しないからで、「母から伝搬した」または「母に由来する」と言うべきでしょう。
そして、ミュータンス菌は胎内・産道・母乳で感染するわけでなく母子感染ではありません。母子感染する病気は、風疹、麻疹、水疱瘡、梅毒、HIV(AIDS)、B型肝炎、C型肝炎、クラミジアなどです。
1.2 むし歯はうつる病気・・・
外因性感染の代表例は、乳幼児が予防接種するような麻疹や水疱瘡とか、その他、新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザやウイルス性胃腸炎など。うつる病気としてポピュラーな疾患のほとんどはこのタイプですが、むし歯は外因性感染でもなく、口腔内の常在菌の内因性感染である点が特徴的です。
むし歯菌は、口腔内に一旦侵入すると永く居ついて、体調が崩れたり、生活習慣が乱れたりすると、増殖して歯にむし歯を作りはじめます。しかし、もともと常在菌として人と共生するむし歯菌を、外因性感染する病原菌のように抗菌薬で完全に撲滅したり、ワクチンで予防することはできません。
外因性感染ならば、一旦治れば、病原菌は身体から居なくなりますが、内因性感染のむし歯菌とは一生付き合い続けることになります。そこで、永く居座るむし歯菌が悪影響をおよぼさないようにするには、日常的に対策し続ける必要があります。これが、一生、歯磨きを続けなければならない理由です。
このように、世間では、むし歯は「うつる病気=細菌感染症である」との認識が強いですが、うつる病気としてポピュラーな外因性感染症とは違う面があります。
1.3 むし歯は生活習慣病
実際、WHO(世界保健機構)は、むし歯をうつる病気の感染性疾患ではなく、うつらない非感染性疾患と位置づけています。非感染性疾患とは、成人病とか生活習慣病とも言われて、がん・糖尿病・循環器疾患・心臓血管病・慢性肺疾患・メンタルヘルスなどが代表例です。これらの疾患は、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などが共通の原因で、生活習慣を改善すれば予防できます。むし歯も食生活など生活習慣の改善によって予防できる疾患である点で共通します。
以上のように、むし歯はムシ歯菌が問題を引き起こす原因の一つであることに間違いありませんが、生活習慣病であるということをしっかり認識して、予防と治療のためにはどうすればいいか考えることが大事です。
2. むし歯の4条件と予防方法
むし歯は、単純な細菌感染症ではありません。むし歯菌が、身体に侵入したとしても、条件によってはむし歯になりません。むし歯が発生するにはむし歯
菌がお口の中に居ついて増えることが必要ですが、その他に、
糖質の摂取
歯と唾液の抵抗力
口の中が酸性の時間
の3つの条件が組み合わさってとむし歯が発生します。
これらの4要因をうまくコントロールすることにより齲蝕の発生は予防できます。
これから、むし歯になる条件とそれぞれに対処する予防策を説明します。
2.1 むし歯菌が居ついて増える
1つ目の条件は「むし歯菌が居ついて増える」です。
昭和の頃はむし歯菌といえばミュータンス菌と乳酸菌でした。特に、ミュータンス菌はグルカンというネバネバのノリのような物質を排泄して、歯にプラーク(歯垢)を形成するので、むし歯の元凶と注目されてきました。このグルカンは唾液や水分に溶けず、粘着性が強いので、多くの細菌がくっつき合って、プラーク(歯垢)は厚く大きく成長していきます。
2.1-1 ミュータンス菌の感染力は強くない
ミュータンス菌が侵入して、その後に居つくには、ある程度以上の数の菌が侵入を繰り返すこと、さらに、糖質が存在することが欠かせません。 実は、ミュータンス菌の感染力はみなさんが想像するほど強くはありません。
仮に、乳幼児が家族と食器やスプーンを共用したとしても、たくさんのミュータンス菌を保菌する家族との間でそのようなことが日常的に繰り返されないと、ミュータンス菌は通過するだけで居つきません。
たまたま、おじいちゃんと食事した時に、おじいちゃんが自分のスプーンで食事を与えたとしても、その一回でミュータンスが居つくことはないでしょう。また、そのようなことが何度かあったとしても、糖質摂取の節度が守られて、毎日の仕上げ磨きができていれば、ミュータンス菌は居つかず増えないでしょう。
2.1-2 ミュータンス菌の侵入予防よりたいせつなこと
日常の育児で、家族から乳幼児へミュータン菌の侵入を強調しすぎると、家族を含めた周囲の養育者が神経質になるあまり、一家団欒で食事する楽しみに水を差し、スキンシップが損なわれることも考えるべきでないでしょうか。
確実にミュータンス菌の侵入予防ができればそれに越したことはないでしょうが、長期間にわたって侵入を予防して、ミュータンス菌の侵入をゼロにするのは難しいです。それよりも、子供が起きている間世話をする母親や家族・養育者のミュータンス菌数を減らすことの方が確実な対策でしょう。このために、母親・養育者が歯科医院で口腔衛生指導やクリーニングなど定期的なメインテナンスを受けるべきです。
また、最近はむし歯菌の研究が進んで、ビフィズス菌、スカルドビア菌、アクチノマイセス菌などもむし歯を起こしていることがわかりました。このようにむし歯菌の菌種が増えてくると、生涯にわたって侵入を防ぐことは、現実的には不可能です。
仮に、むし歯菌が居ついたとしても、必ずむし歯になるわけでありません。むし歯菌が居ついても、増えなければむし歯になりません。仲田歯科医院は、むし歯菌の侵入予防対策はちょっと意識する程度で徹底的に執着する必要はないと考えてます。むし歯菌は侵入しているとして、むし歯の4条件の残り3つをターゲットにして、発症を予防する対策をを優先させるべきと考えてます。
岡山大学が3~5歳のむし歯のない幼稚園児114名について、ミュータンス菌の数を検査して、同時に保護者に間食や歯磨きについての生活習慣に関するアンケートを実施しました。
むし歯のない幼稚園児の約7割はミュータン菌は見つからず、残り3割の園児にはミュータン菌がそんざいすることがわかりました。
そして、次の生活習慣が、ミュータンス菌の存在と関係が強いことがわかりました。
間食の時間が不規則
間食の回数が3回以上
甘味飲料を多く飲む
保護者のむし歯が多い
間食後の歯磨きをしない
全体的に眺めるとミュータンス菌の存在には、乳幼児期の食生活の項目が強く関与していました。
ちなみに“口移し”は、ミュータンス菌の存在と関係が認められませんでした。
また、ミュータンス菌のいない幼稚園児の保護者は、やはり、甘い食べ物を控えること等をこころがけて、ミュータンス菌の居つく(定着する)のを防いだことがわかりました。
世間には、ミュータンス菌の感染予防には、口移しで食物を与えないといった情報があふれてます。でも、甘い食べ物を控えることで、ミュータンス菌が居ついて増殖するのを防ぐことができ、予防の第一歩と重要といえるでしょう。
2.2 糖質の摂取
むし歯の条件の2つ目は糖質です。糖質とは砂糖(ショ糖、スクロース)のような「甘いもの」だけでなく、ごはんやいもに含まれるデンプン(炭水化物)も糖質の仲間です。
2.2-1 むし歯にかかわる糖質
むし歯菌は、口に入った食べ物から糖質を摂取することで酸を作り出し、歯の表面を溶かしてむし歯にします。むし歯菌が酸を作るを成分として、最初に知られたのは砂糖でした。また、砂糖は、むし歯菌の増殖につながりやすいことが知られてます。むし歯菌が侵入したとしても、砂糖をコントロールすれば増殖を阻止できます。
でも、今は砂糖だけじゃなくて、次のような糖質がむし歯に関わることがわかってます。
果物の果糖(フルクトース)
清涼飲料水の異性化糖(ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖)
バナナやラムネのブドウ糖(グルコース)
さつまいもや水飴の麦芽糖(マルトース、麦芽還元糖)
牛乳、ヨーグルト、チーズ、母乳の乳糖(ラクトース)
ご飯、パン、うどん、レンコン、カボチャ、ポテトチップスの炭水化物(デンプン)
これだけリストをあげると、肉以外の大抵の食べ物はむし歯を起こす可能性があるとわかるでしょう。これらを全部避けたら、食べるものがなくなってしまいます。そこで、食生活面のむし歯予防には、砂糖制限、すなわち、シュガーコントロールを重視します。そして、残る糖質のリスクは、むし歯の4条件の残り2つ「歯と唾液の抵抗力」と「口が酸性の時間」の条件面から対処します。 もちろん、歯磨きも大事です。
2.2-2 予防策 シュガーコントロールのポイント
2.2-2-1 砂糖(糖分)の量が多いものは要注意
甘いおやつに気を使ってもジュースを飲んでしまったら無意味です。ジュースや清涼飲料水、缶コーヒーなどにはたくさん砂糖が入っています。
水分補給をスポーツドリンクで補ったり、大人ならば缶コーヒーを片手に仕事をしたりすると、むし歯菌にダラダラと栄養をあげていることになり、大きなむし歯を作ってしまいます。
隠れた砂糖には要注意です。水分補給にはお水やお茶など無糖の飲み物を選びましょう。
2.2-2-2 お口の中に長く留まりやすいものは要注意
砂糖の量も重要ですが、お口の中に長く留まるものは要注意です。
例えばチョコレートやアイスクリームよりも、飴の方がお口の中に留まる時間も長いので危険です。他の食べ物でもダラダラ食いをすると、虫歯ができる危険性が大きくなります。
2.2-2-3 お口の中が長時間汚れるものは要注意
キャラメルやスナック菓子など食べかすや糖分が長時間お口の中で残っていると、むし歯はどんどん進行していきます。特に小さいお子さんの場合1日の1/3くらいは寝ているので、就寝前には必ず歯磨きをしてお口の中をきれいにしてあげましょう。
食後に歯磨きをすることはもちろん、できないならお水やお茶でお口の中をゆすぐだけでも予防になります。
ダラダラ食べず時間帯を決めて食べることも大事です。
2.2-2-4 おやつには砂糖(スクロース)を含む菓子を避けましょう。
果糖(フルクトース)を含む果物や麦芽糖(マルトース)を含むサツマイモ、乳糖(らくとーす)を含むヨーグルトなどを選びましょう。
但し、果糖、麦芽糖、乳糖も全くむし歯に関与しないわけでないことは忘れてはいけません。おやつの後には、わすれず歯磨きしましょう。
2.3 歯と唾液の抵抗力
むし歯の条件の3つ目は歯と唾液の抵抗力です。
2.3-1 むし歯の発病のカギは脱灰と再石灰のバランス
歯は、むし歯菌が糖質から作る酸で溶かされますが、いきなり穴があくことはありません。はじめは、歯の成分が溶け出す脱灰(だっかい)が始まり、穴があく前の「初期むし歯」では、唾液が細菌の作り出した酸を中和して洗い流したり、溶け出したカルシウムやリンを歯の表面に戻す働きをしてくれます。これを「再石灰化」といいます。
このように、むし歯は歯の表面での脱灰と再石灰化のバランスが発病のカギとなる病気です。むし歯菌の発する毒素 が発病の原因になる感染症ではありません。そこで、むし歯菌の侵入予防よりも、日常的に歯と唾液の抵抗力を強化して、再石灰化が脱灰を上回るように注意することがむし歯予防に有効です。
脱灰して歯が溶け出すことと再石灰化して歯が元にもどる程度は、歯によって違いますし、唾液の分泌量とその中和力や洗浄力は人によって違います。つまり、歯も唾液も個人差があり、虫歯になりやすい人もいれば、なりにくい人もいるわけです。
2.3-2 予防策 歯と唾液の抵抗力を高めるポイント
歯と唾液の抵抗力を高めてむし歯を予防するには次の3つの対策があります
フッ素を活用しましょう。
よく噛んで、唾液をたくさん出しましょう。
早めに歯医者さんデビュー
2.3-2-1 フッ素を活用しましょう。
フッ素は歯質を強化して、唾液の再石灰化作用を促進します。
2.3-2-1-1 1歳になったら、フッ素歯磨きデビュー
一般的に、生後8カ月ごろ、下の前歯がはえてきますが、下の前歯はいつも唾液の中にあるため、ほとんどむし歯になりません。上の前歯が はえる1歳ごろからフッ素歯みがきを使って 歯みがきをスタートしましょう。
フッ素歯みがき剤のむし歯予防効果は長期的に使用した場合は50%程度、つまりむし歯を半減するような大きな効果があると考えられてます。
先進工業国で、1980年代からむし歯が減少しました。その最大の理由は、フッ素歯みがき剤の普及だと多くの専門家は認識しています。
2.3-2-1-2 最初は500ppm
1歳のお子さんはまだぶくぶくうがいができないので、歯みがき剤をはき出すことができません。フッ素濃度500ppm歯みがき剤を選びましょう。
つける量は子供歯ブラシの⅓程度、約3mmです。
500ppm歯みがき剤の商品は、サンスター バトラー デンタルケアペースト こども、DENT チェックアップジェル バナナ、ライオン 子供歯磨き アンパンマン、ピジョン 親子で乳歯ケア ジェル状歯みがき ぷちキッズ です。
500ppm以下のフッ素濃度ではむし歯予防効果は確認できてません。市販の歯みがき剤はフッ素濃度を表示していないものもあります。このような商品は濃度100から300ppmのものもあります。
2.3-2-1-3 ぶくぶくうがいができるようになったら900ppm
お子さんが自分でぶくぶくうがいができるようになったら、さらに予防効果が高いフッ素濃度900ppmの歯みがき剤を使うことをお勧めします。
フッ素濃度900ppmの子供向け歯みがき剤は,DENT チェックアップジェル ピーチ、グレープ、レモンティーです。
大人向けの歯みがき剤でフッ素入りと表示されているものはフッ素濃度900ppm程度ですので、味がお子さんの好みに合えば、大人用を使っても問題はありません。
2.3-2-2 よく噛んで、唾液をたくさん出しましょう。
2.3-2-2-1 離乳食のうちから噛む力を育てましょう。
2.3-2-2-1-1 1歳半から1歳半から2歳
奥歯や犬歯が生えてきて、食べ物を奥歯ですりつぶせるようになります。
奥歯ですりつぶす練習ができるよう、離乳食では少しずつ硬さのあるものに挑戦していきます。
この時に歯を上下して噛みきる物、すりつぶして飲み込むも物など、噛み方の調節も覚えていきます。
2.3-2-2-1-2 3歳から5歳
乳歯が生えそろい、噛み合わせができます。
20本全部の歯で噛み砕けるので、食べられる物も多くなります。
咀嚼力も強くなりますが、まだ大人の半分くらいの力です。硬さや大きさは随時調節していきましょう。
2.3-2-2-2 噛む力を育てるポイント
2.3-2-2-2-1 素材の味をいかしつつ、子ども好みの味付けに
噛めば噛むほどうま味が出るなど、噛んだ時の美味しさを体験すると、噛むことが楽しくなります。
噛みにくい根菜類などは子どもの好きな味付けにしてみましょう。
2.3-2-2-2-2 切り方や加熱に工夫
歯の発達に合わせて切り方と加熱に工夫をしましょう。
きゅうりは乱切りにすると、ジャバラ切りよりも噛む回数は25%増えます。
大根はじっくり煮込むのに比べると、さっと煮れば噛む回数は20%増えて、生だと噛む回数は倍になります。
2.3-2-2-2-3 食感にバリエーションを
噛む力を育てるというと、硬いものを食べると言うイメージが強いですが、重要なのは、多様な食感を経験することです。
2.3-2-2-2-4 おやつには歯ごたえのあるもの
おやつも噛む力を育てる大切な時間です。少しづつせんべいやドライフルーツなど噛み応えのあるものを取り入れましょう。
スルメは、よく噛むおやつの代表例で、顎の発達が期待できます。
スルメは気をつけなければならない点があります。小さな子どもに与えている間は、傍から離れずに様子を見守りましょう。噛み砕く力のない子どもに与えてしまうと、飲み込む際に喉に詰まらせる危険があります。
スルメを食べさせてもよい年齢は? 「飲み込まずによく噛むこと」を目的にスルメを食べさせるならば、2歳前後の子どもであれば問題ありません。1歳半過ぎの子どもでも、噛むことを嫌がらなければ与えても大丈夫です。もし、噛み砕けないようであれば、無理に飲み込ませずに口から出すようにしてください。
2.3-2-2-2-5 カミカミ食材を使う
根菜類(にんじん、ごぼう、レンコンなど)・きのこ類・イカ・タコ・貝類 ・果物(りんご、パイナップルなど)・こんにゃく・油揚げ・海藻類・豆類
2.3-2-2-2-6 楽しくカミカミ
食事中に「いい音するかな?』と聞き耳を立てる仕草をして、楽しくサポートしてあげてください。
2.3-2-2-2-7 飲み物で流し込む癖をつけない
飲み物で流し込まないように、食べ物を飲み込んでか ら水分をとる習慣をつけてあげましょう。
2.3-2-3 早めに 歯医者さんデビュー
お子さんをいつから歯医者に連れて行ったら良いの疑問に思うお母さんがいらっしゃると思います
仲田歯科医院は上の前歯が生えた時期が適当だと考えています。
歯科医・歯科衛生士さんにお口の中を観てもらい、その子にあった歯磨きの仕方のアドバイスを受けると良いでしょう。
最初は一人でチェアに座れないこともありますが、お母さんの膝の上で大丈夫。定期的に通うことで、一人でチェアに腰かけて、お口をアーンとできるようになります。
虫歯予防のフッ素も、1歳半から塗ることができます。
3ー4ヶ月に1回、歯ブラシでは取りきれない汚れをとって、フッ素塗布することをおすすめします。
仲田歯科医院は、歯医者さん嫌いにならいように、「きれいな歯のために決まって歯医者さんに行く」という良い習慣作りをお手伝いします。
2.4 口の中が酸性の時間
4つ目のむし歯の条件は時間です。
2.4-1 ステファンカーブ
右図は、食事すると口腔内のpHが、時間経過にともなってどのように変化するかを表すステファンカーブです。
人が食事すると、食後3分くらいから口腔内のpHが中性から酸性に傾きます。そして、食後30~40分経てばゆっくりと中性に戻っていきます。
歯の外側のエナメル質は、pH5.5~5.7で脱灰が始まりますが、生えたての永久歯や乳歯の場合では、永久歯よりも弱い酸性のpH5.7~6.2で脱灰します。このように脱灰が始まる境を臨界pHといいます。
こういうことがお口の中では食事のたびに繰り返されますが、そこにおやつなどをだらだら食べると、お口の中が臨界pH以下になって脱灰する時間が長くなります。
2.4-2 予防策 口の中が酸性の時間を短くする
2.4-2-1 飲食回数を少なくする
口腔内にむし歯菌が居ついて増えたとしても、飲食回数が少なければ、脱灰する時間が短くて、再石灰化の時間が長くなるので、むし歯のリスクを減らすことができます。
2.4-2-2 ダラダラと飲食しない
ジュースを哺乳瓶で飲んだり、飴を長時間舐めたり、常に何かをダラダラ飲食すると脱灰する時間が延長するので、むし歯のリスクが高まります。1歳半以後にむし歯を作らないためには、このような食生活にならないように注意が必要です。
2.4-2-3 仕上げ磨き
口内が中性に戻るまでの時間は個人差がありますが、食後の歯磨きによりこの時間を短縮し、虫歯になりにくくすることが可能です。食事のあと、なるべく早めにしっかりと歯磨きをすることが虫歯予防において非常に重要となる訳です。
2.4-2-3-1 歯みがきのタイミング 「歯みがきは食後 30 分経ってから?」
「歯みがきは食後 30 分経ってから」と聞いたことがありますか? 「食べたらみがく」 ではない、 新しい歯みがきの方法として話題になった時期がありました。インターネットやテレビでながれた情報が部分的に強調されたり、誤解を招く表現が一人歩きしたようです。
「食後すぐに歯を磨くと歯が溶ける」といった情報が流れたようですが、この情報源の研究は、実験室で歯の切片標本に炭酸飲料がどの程度浸み込むか調べた研究で、食事をした直後のお口の中の歯について実際に調べたわけではありません。そのうえ、用いられた標本は歯の内部の切片で、ブラッシングする歯の表面のものではありませんでした。ですから、この実験から、「食後すぐに歯を磨くと歯が溶ける」とか「歯みがきは食後 30 分経ってから」と結論付けるのは無茶です。
結論は、食事のあとに早めに歯みがきをすべきですが、お子さんの仕上げみがきする場合でも、食事の後かたづけしていると30分以上経過してから歯みがきを始めることもあるでしょう。でも、それは日常生活のなかで仕方ないことです。食後からの時間にとらわれるよりも、仕上げ磨きを継続してあげることが大事です。特に夕食後はおやすみ前までに磨いてあげましょう。そして、わざわざ、食後30分待つことにこだわる必要はありません。
日本小児歯科学会は、つぎのように公式に見解を以下に引用しておきます。
“食後すぐに歯をみがくと、あたかも歯が溶けてしまうというような報道が新聞やテレビで伝えられたため、現場がやや混乱しているようです。これらの報道のもととなったのは、実験的に酸性炭酸飲料に歯の象牙質の試験片を90秒間浸した後、口の中にもどしてその後の歯みがき開始時間の違いによる酸の浸透を調べた論文で、むし歯とは異なる「酸蝕症」の実験による見解なのです。実際の人の口の中では、歯の表面は上記の実験で用いられた象牙質ではなく酸に対する抵抗性がより高いエナメル質によって被われています。したがって、このような酸性飲料を飲んだとしても、エナメル質への酸の浸透は象牙質よりずっと少なく、さらに唾液が潤っている歯の表面は酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がないかぎり、すぐには歯が溶けないように防御機能が働いています。つまり、一般的な食事ではこのような酸蝕症は起こりにくいと考えられます。結論としては、通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。”
日本小児歯科学会「食後の歯磨きについて」http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index09.html より 引用
2.4-2-3-2 仕上げ磨きはマネッコから始めよう
仕上げ磨きを始める前にパパの仕上げ磨きをさせてあげましょう。ママの仕上げ磨きをさせてあげましょう
子どもたちは、パパのマネをしませんか?子どもたちの発達においてマネをすることは大切な学習の一環です。子どもたちにとって、遊びは学習そのものです。仕上げみがきの時に押さえつけてはいけません。ママやパパのお口の中を見ることで、自分の口の中や歯に興味を持ちます。ママやパパが楽しそうに仕上げみがきをしてもらうと、子どもたちも嫌がらなくなります。仕上げ磨きをしながら楽しく遊んであげましょう。
2.4-2-3-3 仕上げ磨きは1日何回?
食事のたびに、お子さんが歯磨きした後にママが仕上げ磨きをしてあげるのがベストですが、毎食後が難しい場合は、夕食後やおやすみ前を日課にしましょう。寝ている間は唾液の量が減り細菌の量が増えてしまい、起床時には夕食後の約30倍になります。
2.4-2-3-4 日頃から口の周囲を触られることに慣れさせましょう
歯磨きをスタートしたら、日ごろから子どもの口元を触りましょう。口元を触られることに慣れていると嫌がりにくくなります。
2.4-2-3-5 嫌がられないように工夫しましょう
歯磨き中に話しかけたり、数を数えながら歯磨きするのがおすすめです。歯磨きの終わりがわかると子どもも頑張れます。また、時間がかかると子どもが飽きてしまうので、短時間で手早く丁寧にやりましょう。仕上げ磨きが終わったらほめてあげることも大切です。
力が強かったりして、ハブラシが歯ぐき(歯肉)に当たると嫌がるので、子どもに不快感を与えないようにすることも重要です。また、子どもが眠くなる前や、機嫌が悪い時は、歯磨きを嫌がる原因につながってしまうので避けましょう。
歯垢(プラーク)はなかなか取りきれないため、丁寧に動かしましょう。ブラッシングの時間は3分以上が目安です。強い力で動かすとハブラシの毛先が広がって歯ぐき(歯肉)を傷つけたり、歯垢(プラーク)が逆に取れにくくなったりします。さらに子どもが痛がり、歯磨きを嫌がる原因になってしまうこともあります。
2.4-2-3-6 上の前歯が生えた時の仕上磨きの注意ポイント
上唇小帯を傷つけない
上くちびると歯ぐき(歯肉)をつないでいる「スジ」の部分にハブラシが当たると子どもが痛がり、歯磨きを嫌がる原因になってしまいます。
上くちびるを持ち上げて、歯と歯ぐき(歯肉)の境目が見えるようにし、ハブラシを持っていない方の人差し指の腹で上くちびると歯ぐき(歯肉)をつないでいる「スジ」の部分を隠して、仕上げ磨きをしてあげましょう。
上顎前歯の歯茎の際と歯と歯の間を注意してブラッシングしましょう。
2.4-2-3-7 奥歯が生えた時の仕上磨きの注意ポイント
奥歯はハブラシを奥から前に動かしましょう。乳歯は奥歯が2本なので手早くできます。特に、奥歯のかみ合わせは溝に歯垢(プラーク)が残りやすい場所です。
3. まとめ 1歳半から3歳までにむし歯予防でできること
「むし歯は母子感染する」「むし歯はうつる」とか話題になっています。むし歯はムシ歯菌が問題を引き起こす原因の一つであることに間違いありませんが、むし歯菌が乳幼児の口に侵入しないように努めることは困難です。それよりも、むし歯は生活習慣病でもあることを認識して、予防と治療のためにはどうすればいいか考えることが大事です。
むし歯ができるには次の4つの条件がそろうことが必要です。
むし歯菌が居ついて増える
糖質を摂取する
むし歯が歯と唾液の抵抗力を上回る
口の中が酸性になる時間が長い
砂糖は、むし歯菌の増殖につながりやすいことが知られてます。むし歯菌が侵入したとしても、砂糖を上手にコントロールすれば増殖を阻止してむし歯予防ができます。砂糖の量を減らして、砂糖がお口の中に留まる時間、汚す時間を短くなるように注意が必要です。
むし歯はむし歯菌の発する毒素 が発病の原因になる感染症ではなく、歯の表面での脱灰と再石灰化のバランスが発病のカギとなる病気です。そこで、むし歯菌の侵入予防よりも、日常的に歯と唾液の抵抗力を強化して、再石灰化が脱灰を上回るように注意することがむし歯予防に有効です。このためには、お家でフッ素入り歯磨きを活用すること、よく噛む習慣を育てて、唾液をたくさん出すこと、歯科医院で3ー4ヶ月に1度歯のクリーニングとフッ素塗布を受けることが大切です。
口の中が酸性になる時間が長いほど、むし歯ができやすくなります。そこで、飲食回数をやたらに増やさず、ダラダラと飲食せず、上手に仕上げ磨きを習慣にしましょう。
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